2002.04.10
3月29日のラマラ侵攻に始まるイスラエルのパレスチナへの侵攻は、苛烈さを増している。 ヨルダン河西岸のパレスチナ自治区の主要都市戦車で包囲し、ミサイルを打ち込み、攻撃用ヘリコプターで 人々を無差別に攻撃している。日本のマスコミでは、パレスチナの死者の数が一桁で伝えられるが、海外の メディアの情報では、包囲され攻撃されている都市は救急車の出動もできなくなっており、死者の確認さえ できない状態であると伝えられている。 更に、パレスチナに入っているNGOのレポートでは、街路に死体が 並んでいるが運べないということだ。 これまでも、イスラエルの検問や攻撃で救急車や救急隊が攻撃目標にされるという事態が日常化していると 聞いていたが、今本当にパレスチナの人々がさらされている危機を見、イスラエルの侵攻に反対しなければ と強く思っています。 日本のそしてアメリカの報道は、パレスチナの自爆テロに対してイスラエルが反撃をしていると報じています。 違うと思います。まず、今回の事態の一番初めになったのは、2000年9月28日現イスラエル首相 アリエル・ シャロンがユダヤ人は足を踏み入れないということになっていたイスラム教の聖地、岩のドームのあるハラム・ アシャリフのアル・アクサ・モスクに警官1000人を伴って押し入ったことです。 ハラム・アシャリフ:東エルサレムにある丘で、ムハンマドが昇天した場所といわれる岩のドームがある。 その南部分にアル・アクサ・モスクがあり、イスラム教の聖地となっており、1967年以降も イスラエルはここの管理をイスラム教に認めている。 この丘は2000年以上前にはユダヤ教の神殿があったが、ローマ軍によって破壊されたと 言われており、その唯一のなごりが西の部分の壁で ユダヤ教の聖地 「嘆きの壁」である。 無宗教の私には理解が難しいところですが、この丘は西の嘆きの壁以外はイスラムの管理下にあって ユダヤ人が踏み込むことは許されないし、ユダヤ人も入らないということになっていたそうです。 ユダヤの人々は12世紀以来 「神の居所たる聖所に、あるいはその近くの聖所にユダヤ人の中でも祭司 以外の者は立ち入ってはならないとのユダヤの戒律は神殿が人間の手で廃虚になろうが変わらない」との 宗教上の命令に従って踏み込まないことを受け入れているということです。 イスラムのワクフは、岩のドームもアル・アクサ・モスクも1967年のイスラエルのエルサレム占領後も、 管理しています。 こういう双方の合意があった上で、シャロンの武力を従えての侵入が起こったのです。 これに対して、パレスチナの人々は石を投げて抗議しましたが、イスラエルの警官から発砲があり、パレス チナの人々は子どもも含めて傷つきました。ここから始まったイスラエルの占領に対する抵抗運動が、アル・ アクサ・インティファーダです。 インティファーダは民衆蜂起と訳されていますが、ほとんど武器を持たない 子ども達を含めたパレスチナの人々の抵抗です。 これに対して、イスラエルは、難民キャンプをブルト-ザで破壊する、ヘリコプターで攻撃する、ミサイルを撃ち こむという攻撃をかけてきました。 このような中で自爆攻撃が起こってきました。それを口実にイスラエルが 本当に何倍もの報復を行ってきました。 シャロンが引き起こした挑発の事件からのイスラエルの死者と パレスチナの死者の数は圧倒的にパレスチナが多いのです。死者を数で比較したくはありませんが、いかにも 被害者というイスラエルの顔は、全く事実ではないのです。 難民キャンプや自治区の都市でイスラエルの検問や攻撃で多くの人々(決してテロリストではない)がなくなっ ています。このような事態を日常の中で見せ付けられているパレスチナの若者や子どもがどのように感じ暮らし ていると思いますか? 18歳の高校卒業して、大学への進学まで決まって、婚約者もいた女性が爆弾を腹に巻いて、自爆攻撃に 踏み切るまでの決意をさせてしまう状況なのです。 パレスチナの子ども達はおもちゃではなく武器を欲しがるようになっているという報道もあります。 6歳の女の子が父に向かって「銃か爆弾をくれ。 殉教者になりたい。」という状況を生み出している過酷な攻撃 を続けてもイスラエルに平和な日は来ません。 自爆攻撃をテロと定義して根絶しようと攻撃することが 次々に自爆攻撃も辞さない子ども達を育てていることを考えなければなりません。 シャロンの今回の攻撃は、イスラエル軍の現場の指揮官にとっても理解できないものだといわれています。 目の前の戦闘、攻撃はわかるが、この攻撃で何を達成するのかがわからないと。 イスラエルは自治区への現在の攻撃を止めて、入植地という占領をあきらめるべきです。 パレスチナの地に二つの国が成り立つには譲らなければなりません。 少なくとも1967年のラインまで 下がらなければならないと思います。 パレスチナの人々が一人でも多く生き延びられるように、一刻も早く侵攻を国際社会は止めなければならない と考えます。 |
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