2002.03.20

イスラエルの兵役拒否の運動

今日の朝日新聞の夕刊14面にたくさんの棺が並んだ写真が出ていました。 ニューヨーク国連本部前の公園
道路を埋め尽くした棺。 棺はイスラエル国旗を巻いたもの250。 パレスチナ旗を巻いたもの800。棺のこの
比率がパレスチナ、イスラエルの死者の比率を示しているそうです。 2000年9月以後1500を越える人々が
死んでいます。

2000年9月に当時リクード党首であった現イスラエル首相シャロンが、アル・アクサ モスクに立ち入るという
パレスチナに対する明らかな挑発行動を起しました。その結果、武器を持たないパレスチナの人々が石礫を
投げるという反対の意思を示す行動=アル・アクサ・インティファーダ が始まりました。それに対してイスラエル
が報復としてガザや西岸を攻撃し続けてきました。
粗末な家を戦車で踏み潰され、石礫に対してミサイルが打ち込まれるという明らかな力の不均衡の中で、パレ
スチナの若者の中に絶望感が再び大きくなっていきました。その結果、自爆攻撃というものが出てきたのです。
自分の命をかけて攻撃をかけなければならないという考えに行き着く若者の心情を思ってみてください。

ちなみに、アメリカがベトナム戦争から学んだことというのはどういうことだったと思います。これをNewsWeekで
読んだ時絶望的な気分になりました。
「地上戦に持ち込むと厄介なことになる。空爆、ミサイルなど地上戦をしなくて勝てる方法を開発する。
地上戦にならざるを得ない時は、傭兵に戦わせてアメリカ国民が戦死することを避ける」ということだそうです。
お金と力を持って、圧倒的に攻めているアメリカにはわからないでしょう。自分自身を武器にせざるを得ない
戦いというものがあることを。 

シャロンが首相になって、一方的に攻めまくられるパレスチナを見ていて私も絶望的な気分でした。
今年になって新聞に載った
「イスラエル軍の予備役の士官クラス50人が25日、イスラエルの新聞でヨルダン川西岸とガザのパレスチナ
自治区、占領地での軍の占領を批判し、軍務を拒否する手紙を発表した。」という記事を読みました。
イスラエルの中に反対する人々がいて行動に移しているのだいうことを知って、なにか希望があるように感じ
ました。
そして、「イスラエルで<良心的兵役拒否>を宣言する若者が増えている。昨年秋には、六十二人の高校生が
集団でシャロン首相あてに兵役を拒否する手紙を送っている。」というニュースを知りました。

さらに3月17日のNHKスペシャルの兵役拒否〜イスラエル・18歳の決断〜を見ました。
彼らがインターネットで連絡しながら、62人という集団として拒否をマスコミにも発表する形で行動したことに
強い決意と彼らの戦略の確かさを見る思いでした。
マスコミに取り上げられるということが、今の日本のお気楽状態とは違って「兵役拒否」による社会からの攻撃に
自らをさらすことになるのです。刑務所に入れられ、就職もなくなり、友達も失うかもしれない。
家庭でも兵役を当然のこととして考えている親たちの反対や説得に立ち向かわなければならない。でも、拒否を
選んで、行動に移した彼らに感動するとともに、パレスチナ-イスラエルに、どこかで和解できる糸口があるのだと
思える希望の光(今は本当に小さいけれど)になれると思いました。

彼らの行動に続いて予備役のパレスチナ自治区、占領地での軍務拒否が起こりました。
彼らは集会で述べていました。 イスラエルがパレスチナ自治区や占領地で何をしているのかを。 罪のない子ど
もや年寄り、病人を乗せた救急車に対して攻撃を加えていることも。
小さな力も立ち上がらなければ大きくなれない。 とても困難ななかで立ち上がった若者と予備役の人々に人間と
しての共感を強く覚えます。

イスラエルが占領地から撤退し、パレスチナ国家を承認する日が早くくることを願っています。

シャロン政権がパレスチナに対する攻撃を止めること。アメリカがイスラエルに武器を供与やめ、財政的支援も
やめることを願っています。

この拒否の運動はまだまだ大きなものにはなっていないようですが、それでも拒否する人々は着実に増えて
います。


参考
兵役拒否〜イスラエル・18歳の決断〜(NHKスペシャル 3月17日放送)
http://www.nhk.or.jp/special/libraly/02/l0003/l0317.html

テロと報復が相次ぐイスラエルで、62人の若者が兵役の拒否を表明した。
そのひとり、ヤイール・ヒィロ(18)。軍の攻撃がテロを生むと考える彼と、
軍こそが安全を守ると信じる父親の葛藤を追い、流血が続くイスラエルの現在を描く。

日報抄
 イスラエルで「良心的兵役拒否」を宣言する若者が増えている。昨年秋には、六十二人の高校生が集団でシャロン首相あてに兵役を拒否する手紙を送っている

[新潟日報2月4日(月)]
http://www.niigata-nippo.co.jp/index.html    社説・日報抄をクリックして2002年2月4日指定表示

平和と服喪の行進
12月28日 −− 陽光の一条の光りby.ギラ・シヴィルスキー

http://www5b.biglobe.ne.jp/~onbuzpa/Palestine/March1228.htm
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