2002.01.01

自衛権、正当防衛の権利について

12月23日の朝、お休みの日の常で遅めの起床。寝床の中で聞いているラジオのニュース。
「東シナ海で不審船に対して船体射撃。沈没。」というのを聞いて、 えっえっ、何が起こったのとびっくりして
すぐに目がさめました。

このニュースを詳しく聞いて、テレビでも見ました。
はじめの疑問。 不審船発見は、日本の領海内ではなくて、「排他的経済水域」と言うことだけど、これって
公海上じゃないのかな?? そこで、停船命令に従わない時には、発砲してもいいのかな?
発見は、日本の排他的経済水域内だったけど、沈没させた(した)海域は、中国の排他的経済水域じゃない?
そこでも発砲してもいいのかな?
次の疑問。   沈没した船を引き揚げるっていうけど、中国の海域でかってに日本がやってもいいの?
そういうことができるの?

と、どんどん疑問が湧いてきた。
最終局面で、船体に砲撃したのは、海上保安庁の巡視艇「あまみ」に対して砲撃が加えられたための正当防衛
ということが強調された。そういわないと、どうしょうもない状況だからでしょうが。

このような過剰ともいえる反応が起こるのも、テロに対して、またその恐れがあるものに対して攻撃していいという
政府の姿勢と世論の形成があるからだろうなと思った。

ここで、もう一度確認しておかなければと思ったこと。
国連憲章では、第六章に 紛争の平和的解決という項目を置いている。
そこで第六章 第33条[平和的解決追求の義務] 1 いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の
維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法
的解決、地域的機関又は地域的取極めの利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければなら
ない。

つまり、まず平和的手段を行使する努力が要求されているのであって、ただちに戦争に突入することは、国際法
的にも認められているものではない。アメリカのとった行動は、国連憲章にてらしても異常なものだということだ。
チョムスキーも指摘しているが、ウサマ・ビン・ラディンの引渡し要求に対して、タリバン政権が要求した証拠の提
示と国際法廷での裁判が正しい解決法だったのだ。

今、アフガニスタンはタリバンが潰されて、新しい政権が擁立されていかにもアフガニスタンがよくなったみたいに
報道されているが、今なお続くアメリカの爆撃の下で罪のない人々が死んでいることを忘れてはいけない。
第一、どのような政権と態勢を持つかはアフガニスタン自身が選んでいくべきことであって、外から「民主主義的」
な態勢とかいって押し付けるべきことではない。これからのアフガニスタンが占領軍の言うままではなく自立した
国になっていきますように。私たちは、アフガニスタンが本当に求めていることを手伝っていかなければならない。

今回の不審船事件は、正当防衛に当てはまっているかに見えます。しかし、そのような状況にいたる過程を
含めてみて、日本の海上保安庁の対応は正しいものなのでしょうか?

小泉がいうように「日本の周りで変な船がうろうろしているのは奇怪」なのでしょうか?
領海、公海の区別は何故あるかを考えると、排他的経済水域内での出来事としては過剰防衛ではないで
しょうか。

こうやって、どんどん日本が戦時体制になっていってることを自覚しなければならないと思います。
こういう時だから、国民は経済的にも耐えなければと押し付けられる負担と連動していることを考えなければなら
ないと思います。

さらに正当防衛について、だんなさまがメールをくれました。
 「日本の刑法では、正当防衛の要件としては、急迫且つ不正の (違法な)侵害に対して、自己または他人の
 権利を防衛 するためにやむを得ず行った行為は罰しないという形で定められています。
 
 即ち、急迫(侵害が切迫していること、present)且つその 侵害が違法なものであること(たとえば、自分が
 相手に殴 りかかり、相手がそれを防ぐために手を出そうとした場合、 相手のその行為は原則として違法な
 ものとはいえない)、自己または 他人の権利を守るための行為であること、その行為が相手の行為の態様に
 比べて 過剰なものでないこと(妥当な範囲にとどまっていること、たとえば、相手が棒切れで殴ってきたのに
 対して、 拳銃を発射するのは原則として妥当とはいえない)が要求されます。

 ところが、今回のいわゆる「不審船撃沈事件」では、船を砲撃した位置は、もちろん日本の領海ではないし、
 排他的経済水域でもない公海上(正確には、中国の排他的経済水域上)だったのですから、日本の海上保安
 庁の巡視船が、威嚇射撃をし、相手の船の進路を妨害したことにどのような法的正当性があったのかが厳密に
 検証されなければなりません。
 もし正当な理由もないのに公海上で発砲を受け、進路を妨害されたのであれば、相手がこれに反撃するのは
 正当な行為ということになり、これに対する海上保安庁の砲撃行為は、「不正の侵害」に対する正当防衛とは
 いえなくなります。 いわば、自ら招いた侵害(自招侵害)です。」


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