小出助教の国会証言要旨 |
> > ・原子力を進めてきた行政に対して一言申すために来た。 > ・私はもともと原子力こそ未来のエネルギー源だと考え、夢を> 抱いて、原子力工学科に入った。 >ただ、入ってから調べてみて、 原子力が貧弱な資源だということに気づいた。 > ・エネルギー資源の量だが、確認埋蔵量が最も多いのは石炭。 > 世界が使っているエネルギーを60―70年まかなえる。究極 埋蔵量の石炭がすべて使えるとし >たら、800年分近くある。 > 天然ガスも石油もオイルシェール、タールサンドもある。これに 対し、原子力の資源であるウラン >の量は、石油の数分の1、石炭の 数十分の1に過ぎない。 > ・こう言うと、推進派は、それは核分裂性のウランの量だけで、 我々が使うのは非核分裂性の >ウランをプルトニウムに変換したもの だから問題ないと反論する。 >そして、高速増殖炉という特殊な原子 炉でプルトニウムを増殖させて再処理をしつつ核燃料サイ >クルで回 しながらエネルギー源にするとしてきた。 > ・この構想の中心にある日本の高速増殖炉は破綻している。政府の 原子力開発利用長期計画 >を見ると、最初は1968年の計画で高速 増殖炉は1980年代前半に実用化としていた。 >次の計画では19 90年前後、その5年後の計画では2000年前後、その次は20 10年になった。 >その後は、実用化ではなく2020年代に技術 体系を確立したいとした。次は2030年に確立とした。 >その次の 2000年の改訂では年度を示すことができなかった。次の200 5年の改訂(原子力政策 >大綱)では、2050年に一基目の高速 増殖炉を作るという計画になった。 > ・どんどん目標が逃げているのは明らか。10年経つと目標は20 年先に逃げている。 >永遠に辿りつけない。ところがこれを作った 原子力委員会やそれを支える行政は一切責任をとって >いない。 > ・高速増殖炉の原型炉であるもんじゅだけでも1兆円以上を無駄に してきた。 >現在の裁判制度では1億円の詐欺で1年の実刑という。 1兆円だと何年の実刑になるのか?1万年 >だ。行政のなかにもんじゅ の責任者が仮に100人いるとしたら一人あたり100年の実刑に なる。 >それほどのことなのに、誰も責任をとっていない。原子力は 異常な世界だと思う。 > ・原子力発電は膨大な放射能を取り扱う技術。広島の原爆のウラン の量は800グラム。 >一つの原子力発電所で1年で1トンのウラン を燃やす。それだけの核分裂生成物という放射性物質 >を作っている ということ。機械である原発が故障するのは当たり前。原発を動かす 人間も、誤りを >おかすもの。破局的事故の可能性は常にある。原子力 推進側は、想定不適当という烙印を押して そういう可能性を無視して きた。 > ・たとえば中部電力は、原発には多くの壁があるから大丈夫だとウェ ブサイトで主張している。 >特に第四の壁である格納容器が重要だが、 これがどんな時でも放射能を閉じ込めるとしている。 >原子炉立地審査 指針に基づいて重大事故を想定しているとはしているが、格納容器は 絶対に壊れ >ないという前提になっており、放射能が漏れるような事故を 考えるのは想定不適当だとしてきた。 > ・ところが実際に福島でそういう事故が起きてまだ進行中。この事故 に対する行政の対応は大変 >不適切だ。防災の原則は危険を大きめに 評価して予め対策をすること。 >しかし、今回日本政府は一貫して過小 評価して楽観的な見通しで行動してきた。 >国際事故評価尺度も、最後 の最後になるまでレベル7にしなかった。避難区域も最初は万一を > 考えてということで半径3キロの住民を対象にした。しばらくすると 10キロに拡大したが、それも >「万一」と言った。その後20キロに なったときも「万一のときのため」とした。 > ・私はパニックを防ぐ唯一の手段は、正確な情報を常に公開すること だと考える。 >残念ながら日本の行政はそうではなく、常に情報を隠し、 危機的な状況ではないと言い続けてきた >時間とお金をかけてきた SPEEDIの結果も隠して住民に知らせなかった。 > ・更に、誰の責任か明らかにしないまま、労働者や住民に犠牲を強制 している。 >福島の原発労働者の被曝限度量を引き上げたり、住民の> 避難の基準も法律の基準とは全く違も >のになっている。こんなことを していていいのか。 > ・事故の本当の被害はどのくらいになるのだろうかと考えると途方に くれる。 >現在の法律を厳密に適用すると、福島県全域の土地を放棄 するほどになる。それを避けようとすると >住民の被曝限度を引き上げ るしかないがそうなると被曝が強制されることになる。 > ・一次産業はものすごい苦難に陥るだろう。住民は故郷を追われ、 生活が崩壊する。 >東電が賠償するといっても、何度倒産しても足りない だろう。日本国が倒産しても贖いきれないほどの >被害が出るだろう。 > ・ガンジーが七つの社会的罪ということを言い、それが墓の碑文と して残っている。 >理念なき政治。労働なき富。良心なき快楽。人格なき 知識。道徳なき商業。人間性なき科学。 >献身なき崇拝。それぞれ噛み 締めてほしいと思う。 > |
2011.5.23 @参院行政監視委員会で、「原発事故と 行政監視システムの在り方」 |