2001.09.28
文春文庫の「不思議の国 サウジアラビア」竹下節子著を読みました。 産まれてからずーっとアメリカを中心とした資本主義、民主主義のなかで育ってきた、そして無宗教の国 日本に生きてきた私にとっては、へー、えーっの連続。ちょっとはイスラムの世界を知っているつもりだった けど、サウジアラビアってそういう国だったのかとびっくり。 以前テレビで、イスラム教徒が一生に一度はと思うメッカ巡礼-ハッジ-の様子を見ましたが、日常という のはまた違ったものなんだと思いました。 サウジアラビアは、厳格なイスラムに属する国で、宗教警察もいるそうです。 これが全部のイスラム国に 当てはまる訳ではなさそうですが。サウジアラビアはイスラムの中のワッハーブ派という派だそうです。 ちょっと寄り道だけど、 サウジアラビア建国の父は「砂漠の豹−イブン・サウド」アブドルアジズ。1928年にシリアからインド 洋沿岸にいたる王国-サウドのアラビア-サウジアラビア王国を樹立したのです。 ここにいたるには、アラブの反乱と呼ばれる戦いなど戦いの連続で、ちょうど例の「アラビアのロレンス」の 活動したころです。イブン・サウドについては 「砂漠の豹 イブン・サウド-サウジアラビア建国史」筑摩書房 そして、映画の「アラビアのロレンス」とは違ったロレンス像をアラブの側から描いた「アラブが見たアラビア のロレンス」スレイマン・ムーサ:リブロポートがお勧め図書です。 私の周りには意外とイスラム圏の人が住んでいて、女性が髪の毛を隠すスカーフをかぶって歩いてられた り、ラマダンの時は、日の出から日の入りまではお食事をできないけど、日が沈むと食べられるとかは 知っていたのですけど。 豚肉は食べてはいけないことになっているけど、ラーメンのチャーシュウは食べちゃう不心得ものもいました。 外国人の女性もちゃんと髪の毛、顔、体のアウトラインを隠すあの衣装を着ていないといけないそうです。 ユダヤでも女性の手や足が露出するのを禁止していますよね。前に岸恵子さんの本で読んだことがある けど、イスラエルだったかでタンクトップの女性が、腕を黒く塗られたとかいうのを見たことがあります。 よその国にいったらそこの文化しきたりを守るのが礼儀ですよね。 湾岸後アメリカの女性兵士が、腕を剥き出しでアイスクリームを食べている映像がありましたが、ちょっと 無神経かなって思いました。現在サウジアラビアに駐留するアメリカ軍には女性兵士はいないそうです。 ラマダンってイスラム暦の9番目??だったかの新月から次の新月までの間だから、毎年少しづつずれる そうです。今年は多分11月の15日だと思うけど、新月を確認して実施されるそうです。 ラマダンがあけるとラマダン開けのお祭になるのですが、トルコでは「Sugar Holiday」って書いてあった。 なんかいかにもっていう感じのお祭りの名前だなって思いました。 タリバン支配下のアフガニスタンで女性が家の外に出ることを許されず、学校に行くことも許されていない ということですが、イスラム国全体がそういうわけではありません。 タリバン支配になるまでのカブール大学の学生の4割は女性だったそうです。 昨日、テレビのインタビューに答えるアフガニスタンの女性が、あのすっぽりの被り物の中から流暢な 英語で、しっかりとした口調で話してられたのは印象的でした。 高い教養を感じさせました。 タリバンの幹部よりはるかに毅然として、知性を感じさせる話しぶりでした。 余談: 9月30日14:00からに今回のテロが起こる前にアフガニスタンに国連の仕事でアフガニスタン に入った黒柳徹子さんのアフガニスタンの現状レポートがあるようです。 見ようと思っています。 いろいろ読んで見て、いろいろ感じるところがあります。 そして、私の価値観がすっぽりとアメリカ流民主主義の中にあることを実感します。 しかし、世の中には違う価値観に基づいた生き方があって、当然なのですよね。多様性っていうのは現実 にはよく理解していないなと思います。 日本の拝外主義について考えている時に「銃・病原菌・鉄」ジャレド・ダイアモンド著を読みました。 読みながら、大きな違和感を持ちました。何故か? 著者は欧米以外の文明・地域を見下してはいないと何度も繰り返し述べているにもかかわらず、根本的に 欧米こそが文明の担い手であると考えているからです。 つまりニューギニア人の「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだ。 私たちニューギニア人には自分達のものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」という 問いに答える形で書かれているからです。 白人には伝えるものがあって、ニューギニアにはない?? そうなのだろうか? 今、欧米の推し進めた文明というものがつきあたっているものを打開する知恵が 今まで非文明的と考えてきたもののなかにあるのじゃないのだろうか? このまま行けば、地球を食べ尽くしてしまい傲慢な人間至上主義の欧米流文明。 全く違った価値観、世界観を受け入れる柔軟さが必要な時にきているように思う。 と、いいつつ、本当に理解するのはなかなかむつかしい。でも、知ろうとして、理解しようとすることは 大切なことだと思うし、余分な摩擦を避けて、テロへと繋がる憎しみあいを避けられる可能性をはぐくむ ことになると思う。 「不思議の国・サウジアラビア」は読みやすい本だったので、一読をお勧め。 読んで、やっぱりイスラムって変だわとか女性蔑視だわと思ってもいいと思います。 私は、読んでみて、自分が女であっても常に自分の意志で生き方を選んで、生きてこられたことを、とても すばらしい、うれしいことだと思いました。これまでの自分の生きた道に後悔やいらだちがなく満足って。 明日死んでも幸せなこれまでの人生だったなって思いました。(ちょっと大げさか、てへへ) |
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