2001.09.25

アフガニスタン

アメリカは、パキスタンの協力を取り付けた一方、アフガニスタン北部同盟を使って攻撃をするつもりだと
思う。マスードが死んでしまった今、ちゃんと北部同盟を率いてアフガニスタンの為に働ける人がいない
のではないだろうか。 タリバンを叩くためのみにアメリカへの協力をするのだろうか。
ロシア、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンがそれぞれ基地の提供をすることが決まったらしい。
国内が不安定で、国民の大部分がタリバンと同じパシュトン人であり、今回の報復に対しても反対の
強いパキスタンを使うより、リスクが少なくて効率的と考えているのではないだろうか?

自分たち(アメリカとNATO軍)が前面で戦わないで、前面には北部同盟を立たせる。
最前線で死んでいくのは北部同盟の戦士たちであって、アメリカ軍の人的被害は少なくできるわけだ。

今、もう手に入りにくくなったといわれている本「タリバン」:アハメド・ラシッド著を読んでいます。
この本は日本語訳本が昨年2000年5月に出されていて、今回のテロより前に書かれた本です。
私は、18日に梅田の紀ノ国屋で買ったのですが、そのときは平積みされていました。
でも、昨日紀ノ国屋のNETの本屋さんではただ今入手不可で、アマゾンでも取り寄せ手配でいつになる
かわからないようでした。

買った翌日から読み始めているのですが、スピードがあがりません。読んでいて悲しくなる本です。
まだ読みきれていません。なぜ読み進めないかっていうのは、あまりにも悲惨で惨めな物語なのです。
物語なんかじゃなく、現実なのです。楽しくない、とっても悲しいことってなかなか読み進めません。

しかし、3分の1くらいまでたどり着いたところでも、現在のアフガニスタンがいかに悲惨な戦争の地である
かということを感じます。

タリバンの拠点としてよく報道されているカンダハル。紀元前3000年前から周辺に人が住み、貿易の
要衝として栄え、入り組んだよく手入れされた灌漑水路で潤わされて、ブドウ、メロン、桑の実、イチジク
桃、ザクロの産地として知られたオアシス都市だったのです。 それが、ソ連軍とムジャヒディンが大量の
地雷を埋め、ソ連軍は、水路を破壊し、果樹を切ってしまったのです。今果樹園は失われたままです。

イラン国境に近いヘラートは、5000年前から人が住み着いていた地で、きちんと灌漑された農地が広が
っていて、「中央アジアのパン籠」と言われたところもソ連軍の爆撃で破壊され、地雷原になってしまった
のです。

ソ連軍が撤退した後も、軍閥間の争いが続き、人々が疲れ果てた時に「タリバン」が1994年末に出現。
ソヴィエト戦、その後の内戦に疲れた人々にこれで安定するとの希望を一瞬与えたのです。

しかし、彼らはソヴィエト戦で戦ったムジャヒディンの次の世代になるのですが、パキスタンの難民キャン
プで生活していた人々で、生産的な職業を知らない人々なのです。 悲しいことに、戦い、戦争しか見た
ことがない、生活の全てが戦いであるという人々なのです。
「タリバン」は決して平和的な組織ではありません。しかし、アフガニスタンにも普通の生活をしていきた
い貧しい人々がいっぱいいます。国連の援助を頼りに生き延びてきた人々は見殺しにされるのでしょうか?

対ソヴィエト戦の中で、アメリカはスティンガーミサイルを900〜1000機アフガニスタンに与えました。
その半数が残っています。ソヴィエトのスカッドミサイル、ミグ戦闘機も残っています。その他小型の武器は、
アメリカ、欧州、パキスタンなどがよってたかって、山ほどアフガニスタンに与えたり売り込んだりしたの
です。でも、ソヴィエトが撤退した時、荒廃したアフガニスタンに復興の手を貸した国はないのです。
アフガニスタン自身も内部で分裂していて、内戦状態に突入して、相手とできるところがなかったという
こともできるのですが、しかし、生産の基盤を壊されてしまって荒廃した国に武器だけを与えつづけた罪
はあるでしょう。違うことができたでしょうに。

今のアフガニスタンには、なにも残っていないのにまだ爆撃するのですね。 灌漑施設のすべて壊され
水道施設もなく、電気も限られている。 病院さえもちゃんとない。
多くの人々が、飢えと寒さ(アフガニスタンの冬は零下になる)で死んでいくのでしょうか?
こんな悲惨ななかでは、豊かな感情は育ち難いでしょう。私たちが、戦後受けたようなミルクとパンの
供給が敵対する心を変化させていくのではないでしょうか。

国境封鎖を解除して、アフガニスタンの人々を戦場から出してあげてください。難民キャンプの維持に
世界の力を結集しましょう。 飢えと寒さから守れるように国連の力を期待します。

アフガニスタンがアメリカを攻めたわけではありません。そんな力はアフガニスタンにはありません。
タリバンも、自身がアメリカを攻めたわけではありません。
今回の世界がみつめていたと思ったあのテレビ映像なんて、アフガニスタンの人たちは知らないのです。
テレビなんて無い生活をしているのですから。当然、「ウサマ・ビン・ラディンのプロモーションビデオ」なん
て見たことも無いでしょう。(それにしてもあのビデオはどこでばら撒かれていたのでしょうね?)

自分の尺度、自分の文明こそが正義であり、善であると考えるのは間違いだし、他の国の人々が同じ
情報レベルにあるのだと思い込んで、なんであんな反応をするのかと怒るのも間違いだと思う。

ちゃんとまとまらないけれど、アフガニスタンの子どもたちが、銃ではないものを持てるようになりますように。


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