2001.03.03
ダム
田中長野県知事が、ダム建設中止の方針を打ち出した。 画期的なことだ。
反論として、代替案が示されていないという反論もあるが、植林などで山を守っていく
という方針は、しごくまっとうで、是非是非押し進めて、いいモデルをつくってほしいと
思う。
かって、「黒部の太陽」という石原裕次郎が主演?の黒4ダム建設の映画を見た。
その時は、感激したように思います。しかし、今、その黒4ダムは底にヘドロがたまって
そのヘドロを抜くために、一度底からの放水をしたらしい。その結果、富山湾に大量の
ヘドロが流れ込んで、湾が汚染され、漁業に損失が出たと聞く。それから、たまったヘドロ
をどうするか、名案がないまま放置されているらしい。
四国の早明浦ダムは、流れ込む土砂でどんどんうまっていて、本来ダムがためうる水の
40%くらいのキャパシティーに落ちてしまっているということだ。
溜まっている土砂は、本来山から海に運ばれて、浜辺を形作るべき砂になるはずのものだ。
上流にダムを作ることで、海岸がやせ細っているというのが、現状なのだ。
山の木々に守られて蓄えられた水は、ミネラルをたっぷり含んだ水を河に送り出し、海を
豊かに育てる。 昔の人はこのことを理解していた。海は山に守られるということを。
ダムが洪水を防ぐといわれるが、本当だろうか?
今、モザンビークで起こっている大規模な洪水は、大雨によるザンベジ河の増水が原因
だが、上流にある巨大ダムは、水を蓄えきれずに、結局緊急放水している。
日本でも、ダムの放水で雨とは時間差をもって、洪水が起こったことがあったと思う。
エジプトのアスワン・ハイダムもその成果はどうだろうか。
ダムによって、下流の土地の地下水位が上がり、塩分濃度が増えて、かえって農業に
悪い影響が出ているということだ。
かってのエジプト人はもっと聡明だった。 星を観測し、ナイルの氾濫の時期を知り、
その間、氾濫するナイルから離れて、新しい肥沃な土地が現れるまで、別の仕事をして
待った。ピラミッド建設が、そういう期間の公共事業の一つだったという見解が最近出され
ている。
自然を知り、自然とともに生きる知識こそが、もっともすぐれた知恵というものだろう。
自然をねじふせようなどという考えは、傲慢な思い上がりだ。 しばらくはバラ色にみえる。
しかし、100年の単位の評価にも耐えられないだろう。
ソビエトがアラル海に流れ込む河を触って、砂漠を農地にと革命的な成功っていってた
事業も惨憺たる結果を示している。アラル海の縮小、農地の荒廃。
人間もまた自然の一部にすぎない。自然を支配できるほどの知識も、方法も知らない存在
なのだ。人間は、神様に次ぐ存在ではない。自然の恵みを利用させてもらえるにすぎない
人間だけが、地球の乗組員ではない。増えすぎて、地球の資源をわがままに使いすぎる
人間は地球から排除されるのかもしれない。
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