2003.02.22

破壊のはてに       アフガニスタンの今、イラクの未来

アメリカ、イギリスが、サダム・フセインの極悪非道を言い立てて、イラク国民を解放して民主主義を
与えるということを言い立てている。
第二次大戦で、解放されたドイツ、日本はよかったじゃないですかと。

でも、第二次世界大戦の敗戦国と比較するのは筋が違うと思います。
イラクは、現時点でアメリカもイギリスも攻撃していない。攻撃されるかもしれないというアメリカの
思い込みがあるだけだ。
比べるならば同じ状況で、圧倒的なアメリカ軍の力で叩き潰されたアフガニスタンと比較すべきだ
と思う。

アフガニスタン攻撃の前にアメリカが言い立てていたのは、「タリバンというテロを支援するような
とんでもない非民主的な政権がアフガニスタンに圧制をひいている。アフガニスタンの非民主的
状況下におかれた人々を解放してあげなければいけない。テロとの協力を止めさせるにはタリバ
ン政権をつぶさなければいけない。」というものでした。

アフガニスタンの現在がどのようになっているか?世界は正確に見続けているのでしょうか?

アフガニスタンの東北部で1984年から現在まで医療活動を続けてこられた中村哲先生によると
タリバン支配下で維持されていた一定の秩序は完全に破壊され、昔からアフガニスタンの社会を
支えてきた「ジルガ」(村の行動を決める長老会議)の権威が落ちて機能しなくなり、田舎の村に
も秩序の破壊と混乱が起こっているそうです。この結果、社会はきわめて不安定で先生たちの
活動も困難な中で行われているそうです。アメリカ軍の支援で力をつけた軍閥の復活が事態を
いっそう困難なものにしていると。

アフガニスタン復興の掛け声のものと集まった国際支援もカブールだけで、人件費を吊り上げる機
能しかなく、必要な支援はなされないまま農村に帰還難民が流入し、いっそう混乱を広げている。

カブールではアメリカを中心とする多国籍軍が警備しているにもかかわらず治安は悪いとBBCでも
言っていました。

新聞に掲載されるきれいな服を着た学校に行くようになった女の子は多分タリバン政権下でもちゃ
んと「隠れ学校」に行っていた恵まれた家庭の子どもたちでしょう。 以前から学校に行けなかった
農村や羊飼いをしているような男の子はやっぱり学校にいけないでいるでしょう。
それどころか空爆で両親を失ったり、地雷やアメリカ軍の落としたクラスター爆弾で命を落としたり、
体の一部を失っている子どもたちも多いのです。その日を生きて食べるのに精一杯という人々が以
前より増えているのです。

アメリカ及びともにタリバン政権を倒し今なお空爆を続ける多国籍軍は、本当にアフガニスタンの人々
にとってよいことをしたのでしょうか?
今、イラクに対して行おうとしているイラク開放を名目としたイラク攻撃はイラクの人々に本当にいい
ことなのでしょうか?

自由とか学校とか言う前に、命があって今日食べれるかどうかということがまず確保されることが大
事っていうこと。 両親を殺されても学校に行けるようになったら「幸せ」みたいに報道されていました
がそんなことって本当に幸せとは考えられない。


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